artist's notes
氷見だより2
ゆうゆうと流れる上庄川のもと、時間もゆったりとすぎてゆき、氷見でのレジデンス滞在はおわりました。ざっと振り返ってみたいと思います。
2010 Aug 6th, 7th
この週末は日比野克彦氏のレクチャー、ワークショップが行われ私も便乗させてもらいました。「アートプロジェクト」とは一体何なのか。絵や彫刻とどう違うのか、という大変興味深い命題。「アートプロジェクトというのは、作品の美しさなどだけを問うのではなく、「なにか、コトを起こすことである」と明確に位置づけてくれました。今までなかったこと、その種をまいて育てること。つながっていなかったことをつなげてみること、ともいえると思います。それによって「新しいものの見方を生みだそう」、という試みこそが、アートの真意だ、と私も心から共感しました。
そしてそのワークショップが終わったら、やおら「さあ、船にのって島へいき、潜りにいこう」!。参加者はみなわさわさと、ヒミング御用達のおじさん達が用意してくれた伝馬船とモーターボートにのりこみ、唐島へ。日比野氏はじめ、2−3のローカルたちはざんぶと飛び込み、洗面器一杯の牡蠣を狩猟してきました。そしてヒミングに帰って、潜りのおじさんが大変器用にあけてくれ、流しそうめんとともに「ながし牡蠣」にして贅沢にいただきました。(こんなことできるのは氷見のヒミングをおいて他にはないでしょう。)




Aug 9th – 12th
にぎやかだった週末もおわり、私もいよいよ本格的に仕事に取りかかる決意をしました。その間もまたそのおじさん達が入れ替わり、立ち代わり、にこにこしながらやってきて差し入れを持ってきてくれます。とれたてのサザエ、かわはぎの南蛮漬け、なすのオランダ煮、手作りところてん、、、、。うーん、本当に食と人情の濃い場所です。
日曜日はたくさんのお手伝いの人が来てくれました。というか、ヒミングカフェにお茶をのみにきたついでに、いつの間にか結構はまってしまった、というのりで何時間も作業していただきました。
なかでもこのアートセンターの蔵の大家さんの奥さん,ミチヨさんは、お盆の忙しい中、一週間毎日毎夜仕事が終わってから夜食の差し入れとともにやってきてくれ、船や波、唐島のデザインを「さすが漁師の奥さん!」とうならせる、大変情緒ある形に作り上げてくれました。


ちなみにご主人のホリノさんはぶかぶかとタバコを片手にやってきて「こーんな、こまけー仕事、みてるだけで気分わるくなるー」と来るたびに頭を抱えていくのですが、そういいつつも毎日必ず2度も3度もやってきて、うれしそうに念入りに観ていってくれます。(そして毎回「いやー気分悪くなるー」といって帰っていく、不思議な心理)
ヒミングの要の高野女史も毎日毎夜、仕事の後でやってきてどんどんと仕事をこなしてくれました。正直な話、私はこれまでこの草のドローイングはあまりに細かい作業だし神経のすり減るものだから、とても普通の人はできないだろう、と思っていたのです。(事実オーストラリアのギャラリーで働いてるボランティアさんも「もうだめー」と2時間でギブアップしてしまったので)。それが、意外と普通の(つまり別にアートを生業としている人でない)老若男女がみんな一心に、とんとんと細かい作業に真剣に取り組んでくれる様子に大変驚きました。
「時は金なり」「時間効率」がスローガンのようになる時代、私も自分の作業を人に頼むのは(しかも無償で)大変心苦しく、なんとかいつもできる限りは自分でやってきているのですが、ここ氷見にきてこういうことが可能な場所もあるのだなあ、と感にいりました。これって究極の「スローライフ」の精神かもしれないです。



そしてこの一週間、灼熱の氷見の中、作業は着々と進められました。12日木曜には学生さんや1時間半もかけて来てくれたヒサダさん、スタッフの平田さん、鎧高さん総出で大きな壁面、第一ステージはほぼ作ってくれました。
Aug 13th
子供達とコンポストつくりのワークショップをやりました。これにも大工のおじさん達が飛び入りで参加して下さり、一番真剣に、ああでもない、こうでもない、とねじりはじまきをしてかわいいお花飾りに目を輝かせておりました。このワークショップにおじさんが参加してくれたのは初めてだったので、大変嬉しいことでした。




…..ということで、氷見にての草花壁絵は着々と11月の会期終了まで少しずつ育っていく予定です。
(これがミチヨさんが仕上げてくれた伝馬船)