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製作覚え書き
絵本についての雑記 3 2007年 3月
ティダリクについて
『おおきなカエル、ティダリク』(現在福音館書店「こどものとも世界昔ばなしの旅」シリーズとして販売中)は私にとって、忘れられない大切な一作です。オーストラリアの先住民、アボリジニーの人たちに伝わるドリームタイムという神話があります。これが実に面白いのです。カンガルーには何故ポケットがあるのか、何故コアラは高い木の上にいるのか、この土地の動物と人間と神との関係や、存在の意味が語られています。

なかでもこのティダリクの話のとりこになりました。おおきなカエルが全部水を飲んでしまう、というはじまりも豪快だし、笑わせてものごとを解決する、という知恵にも惹かれます。ぜひこれを日本の子供に紹介したい、と思ったのがはじまりでした。

しかしこうした先住民の神話は、彼らの知的財産であり、勝手に引用するわけには行かないのです。そこで、国立図書館にいって様々な文献をひもといたところ、どうやらこれは広いオーストラリアの中でも、なんと私が暮らしているメルボルンから200キロほど離れたギップスランドにあるらしい、ということがわかりました。嬉しくなって、今度はメルボルン大学などのアボリジニスタディの人達にその話しをして、何人かの人を紹介して話しをきかせてもらいました。問題は、その周辺の部族社会は崩壊していて、昔ながらの伝統的生活をしている人は皆無であったこと。しかし、その文化を再評価して保存しようとしている人達もいることなどをつきとめました。そして、その保存運動をしているウェインスロープ氏にであって、彼に話しをして一緒に作品をみたり話しを再確認したりすることができました。この体験はアボリジニーの人たちの悲惨な歴史や政治を、改めて考えさせられる貴重な体験になりました。(pdfに別の原稿があります。)

ティダリクの話しには多くの教訓がちりばめられていますが、何よりこの憎めない不思議な面白いカエルと、ぼんやり系の有袋類たちの必死の行為が面白い。オーストラリアというのは、本当にこの有袋類たちが象徴しているように、なんだかもっさりとしていて、のんびりしていて、ユーモラスな場所だと思います。余談ですがオーストラリアでは本当に水が足りないので、この話しの深刻さが身にしみます。我が家の周辺はみな雨水タンクをとりつけ、一粒も水を無駄にしないように必死ですし、分解可能な洗剤に切り替えて生活排水も庭や畑にまくという努力もあたりまえ。我が家でもキッチンの横にいつもバケツがおいてあり、コップにのこった飲み水や米のとぎ汁などは必ずそこにいれて庭にまいています。日本にいた時は節水のことなど考えたこともありませんでしたが、地球の温暖化などの問題はここにいると「雨が降らない、水がない」という切実な問題につながっているおります。そうした問題を、ユーモアのセンスで競う、という発想、世界中の政治家にも見習ってほしいものです。

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